アピシウス × 横浜君嶋屋
「APICIUS(アピシウス)」
シェフソムリエ
情野 博之(せいの ひろゆき)
シェフソムリエ
情野 博之(せいの ひろゆき)
横浜君嶋屋
営業課長
柴垣 武(しばがき たけし)
営業課長
柴垣 武(しばがき たけし)
「APICIUS(アピシウス)」
シェフソムリエ
情野 博之(せいの ひろゆき)
×
横浜君嶋屋
営業課長
柴垣 武(しばがき たけし)
~お二人は出会ってどれ位になりますか?
<情野>
この業界に入って35年、アピシウスに来て12年。柴垣さんとは、トゥールダルジャン時代に1年半くらい一緒に働いていましたね。
<柴垣>
情野さんは、当時からコンクールなどでも優勝されている憧れの存在。
トップソムリエといわれる方からワインを教わりたいという想いで、追っかけていった感じです。
そして、君嶋屋に入ってから、さらに良いお付き合いをさせて頂いています。
アピシウスの情野さんといえば業界では知らない人がいない位の方ですので、
僕たちのアイテムを扱って頂ける事はとても光栄です。
<情野>
君嶋屋さんとはかれこれ20年のお付き合いですね。その頃から、君嶋屋さんには良いお酒が揃っていたんですよ。
なかなかエッジのきいた商品があって、君嶋屋さんが取り扱っているこの銘柄は使いたい!という感じでした。
柴垣さんが入社する際、事前に君嶋社長から「柴垣君ってどういう人?」という質問がきたので、「とてもいい子ですよ。真面目ですから。」と、ちゃんと伝えておきましたよ(笑)。
<柴垣>
本当であれば気軽にしゃべる事ができない方なのに、
とても優しくして頂いているので、「情野さんには変なものをお勧めできない」と本当に思っています。
~アピシウスのご紹介をお願いします。
<情野>
お店はオープンして35年が経ちます。当初から全く場所も変わらないクラシックな店でお料理はいわゆるモダンではなくクラシカルな感じです。
というのも今のシェフは三代目なのですが、開店時からずっとこの店にいるシェフで、昔から代々引き継がれてきたお料理を出しているという感じですね。
お越しになるお客様も三世代でお使いいただいているような伝統的な店です。
公式には3万本のワインの在庫があると謳っていますが、実際はもうちょっとあるんですよ。今は、5万本くらいかな。 昔から3万といっているので、まぁそれでいいかなという事でそうなってます(笑)。
~アピシウスさんにはどんなお酒をお勧めしているのでしょうか。
<柴垣>
今の四代目社長が「自分たちのこだわりと情熱のあるものを」という精神の元、有名シャトー以外の所にも何か宝があるのではないかと単身フランスに渡り直接生産者とコンタクトする事を30年ほど続けた結果、今では約70件の生産者がリストにまとまっています。
中でもアピシウスさんにお勧めしているものは伝統的なワインですね。 現地では有名だけど日本では仕入れて無かったようなワインもご紹介させて頂いています。
<情野>
君嶋さんは目利きのセンスもあるなといつも思っています。僕たちが切り札的に使えるアイテムもあって、
あまり周りには知られたくないです(笑)。うちだけに入れてもらいたいものもありますよ。
<柴垣>
君嶋屋が持っている”トップ生産者”といわれているものの中で、
かつ”クラシック”といわれるもの。その二つを考えてお勧めする事を心がけています。
<情野>
彼はかなりいい営業マンですよ(笑)。
専門範囲を狭めないで、いろいろ全般的に良い所を紹介してくれ、フックがいろいろ出てくるので有り難いです。
~スペシャリテとそれに合うお酒がありましたら教えてください。
<情野>
35年間グランドメニューから一度も外れていないものが2つあります。
1つは「ウニとキャビアのコンソメゼリー寄せ」で、初代のシェフが研究の末に閃いたお料理。これには
バレットとの組み合わせが本当にいいよ。もう一つは「小笠原産のアオウミガメのコンソメスープ」。フランス革命以前からの宮廷料理で、 来られたら必ず召し上がって下さるお客様もかなり多いです。これには、 レトワールだな。 いずれも初代髙橋シェフと先代創業者が考えた、うちの人気メニューです。
雲丹とキャビア カリフラワーのムース
コンソメゼリー寄せ(高橋徳男氏へのオマージュ)
小笠原産母島の海亀のコンソメスープ
シェリー酒風味
<柴垣>
スペシャリテ2つに合うワインとして、君嶋屋からのアイテムを挙げて頂けるなんてとても嬉しいです。
<情野>
うちは、季節によって茸もよく使うんだけど、その時は
モンブルジョーがすごく使いやすいですよ。
~その他、お料理とのペアリングなどについてはいかがですか?
<情野>
今流行っている”ペアリング”というのは、本来コースメニューのお店にしかありません。
コースに従ってワインを決めればいい訳ですし、在庫を持たなくても良いので楽は楽なのですが、
うちは基本アラカルトの店なのでペアリングというのができないんです。実際にお客様が選ばれるお料理一つずつ合わせるのは無理ですから、ある程度合いそうな最大公約数的な合わせ方をしていかなければなりません。 すごくエッジの効いてるワインですと、かすりもしないという事もあるので、やはり伝統的な手法で造られている王道なワインというのが合うという事になりますね。 君嶋屋さんからのワインですと、 ボクスレーや クラープ、 カルバドスなどいろいろあります。
<柴垣>
特にカルバドスに関しては、
間違いなく日本で一番多く扱ってるレストランだと思います。世界でも指折りかと。
私が営業になって情野さんに最初にお勧めしたのが、今お使いいただいているカルバドスのマルチビンテージなんです。
そこから情野さんとさらに良い関係が築けたのだと思っています。
~お客様がカルバドスを楽しまれるのはどういったシーンですか?
<情野>
やはり食後ですよね。
カルバドスはリンゴのブランデーなので、お食事とワインで葡萄関連ものを召し上がっておられるお客様に
少しアクセントを変えてというシーンです。年配のお客様にも喜ばれます。
「マルチビンテージは年間1,600本しかつくっていないので、そのうちの1本です。
カルバドスのロールスロイスですよ。」とお伝えするとかなり驚かれますね。
君嶋屋さんが輸入して提供して下さるラインナップは、シャンパンから食後酒まで全般で楽しめるという事で、そういう所にも懐の深さを感じますね。ワインだけを入れてくれる所は、ワインで終わりですからね。
~最後に、お店にいらっしゃるお客様にメッセージをお願いいたします。
<情野>
うちは本当にクラシックなお店ですから「ここに来ると落ち着くね」
といって下さるお客様が圧倒的に多いんです。
ですので力強いというよりは、癒してくれるようなワインにさせるべく、うちでも熟成をさせてから飲んで頂く事を心掛けているので、
安心していらして頂ければなと思います。バイザグラスでやられているお店も多いですが、
うちはそういう事はせずに、フランスワインに特化して攻めていこうと思っています。
それを評価して頂き、昨年のワールド・ベスト・ワインリスト・アワードで賞を頂くことができました。
これからもそれを変える事なく王道のワインを提供していくのが僕らの使命ですね。
<柴垣>
そこはうちも大事にしている所で、時代に流されないという考えがアピシウスさんと共通している部分なのかもしれませんね。
君嶋社長もその辺かなり芯が強いですから。
<情野>
そうだね。君嶋さんはロックンローラーとしてもね(笑)。
お忙しい中貴重なお話をありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。