酒のおはなし No.026 [2021.3.29]
太くて光沢のあるつるんとした外観、口に運ぶと柔らかくジューシー、優しい甘さと春野菜らしい仄かな苦味、一度食べるともう病みつきです。ヨーロッパでは、春の桜前線なら ぬ「ホワイトアスパラガス前線」があるようです。2月~6月位まで南はスペインから北はオランダ位まで駆け上がります。(北欧でも栽培されているかも知れません)マルシェ もホワイトアスパラガスで賑わいます。今(3月中旬)、日本ではフランスのロワール産やボルドー産、北イタリア産などがレストランで多くオンメニューされています。最近は 日本産も太く立派で美味しいものが栽培されるようになってきています。佐賀産、北海道産が有名でしょうか。産直の通信販売で簡単に購入が出来ます。
最もシンプルで一般的なのは、茹でたホワイトアスパラガスに※オランデーズソースや※ヴィネグレットソースを付ける食べ方です。合わせるワインも産地が広いので各地で地元
のワインと共に楽しまれています。フレッシュで樽感は控えめ、仄かに甘みのあるすっきりとした白ワインとの相性が良いです。付け合わせる食材や調理法によっても合わせるワ
インが変わってきます。これがマリアージュの面白いところです。
例えば、茹でたてをヴィネグレットソースで食す場合はロワールのソーヴィニヨンブラン、オリーブオイルと岩塩の場合はプロヴァンスのヴェルメンティーノ。茹でた後にフォアグラの脂でソテーした一皿には、少し甘味のある樽熟成したシュナンブラン、といった具合です。
ホワイトアスパラガスのオランデーズソースに『ミュスカ』を合わせるのが定番。 ミュスカは、英語でいうマスカット種のことですが、アルザスでは甘口ではなく辛口ワインが造られます。品種の特徴としては、果実の凝縮感がしっかりというよりは、フローラルで華やか。酸味が穏やかで味わいの重心はふんわりと軽い。イメージはふわふわと空に浮かんだ横に長い楕円の風船。ホワイトアスパラの優しい甘みとの相性は抜群です。ぜひお試しを。
マスカットや黄色い果実や花の風味が特徴。華やかでまろやかな味わいを堪能できます |
石渡 敏 [株式会社横浜君嶋屋 営業本部長]
仏料理店コートドールの調理場、サービスを経て横浜君嶋屋に勤務。
営業全般の統括。酒ディプロマ取得。趣味は、料理・サーフィン・トレイルランニング。
岡野亭の料理レシピ [2021.03]
横浜君嶋屋マリアージュコラム No.015
今回のテーマは生姜です。
漢方の古書には「しょうがは百邪を防御する」と記され、日本でも奈良時代に中国から伝わり既に栽培されていた記録が残っています。そして江戸時代に入ると生産量も増え、誰でも気軽に親しむことのできる身近な食材となっていったようです。江戸っ子が屋台でお鮨を食べる時にガリをつまんでいた習慣は、生姜の殺菌効果で食中毒を防ぐための昔の人の知恵でもあったと、ある寿司職人さんから聞いたことがあります。風邪の引きはじめに生姜湯、神経痛や関節痛に生姜湿布、漢方薬、日々のお料理に、生姜は一年を通して大活躍です。今回のテーマは私たちの生活に欠かすことのできない真のスーパーフード、生姜です!
コラムでご紹介する生姜に含まれる栄養や効能の専門知識は、医食同源をモットーとし、食通、ワイン通のシェフドクターとしても有名な大友博之医師が監修されているWebサイト「医師視点の医と食のメディアIshiPedia」から引用させていただきました。こちらもどうぞ合わせてご覧ください。充実した内容と美しい画像が盛沢山で読むだけでも免疫力アップ間違いなし!そしてお料理の創作意欲がもりもりと沸いてきますよ。
東洋医学的側面でも血や気の巡りをよくして体を温め、冷え性の改善や風症状を改善し、新陳代謝を促進するとあります。
≪生姜≫
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料理では生姜そのものの風味を味わったり調味にパンチを効かせたり、肉や魚の臭みをなくしたりと様々な使い方があります。
それではレシピのご紹介です。
材料 ・牡蠣6~8粒 ・生姜 ・乾燥和山椒の実 3~4粒(なくてもOK) ・日本酒 20ml ・みりん 20ml ・醤油 20ml ・砂糖 小匙1/2程度(お好みの甘さに調整してください) |
作り方
手順 | |||||||||||
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おススメのお酒
デザートワインや日本酒の古酒と一緒にゆっくり味わいたい、スパイス香る大人のスコーンです。
カルダモンの代わりに五香粉またはオールスパイスを生姜と合わせても美味しいですよ!
材料 <14個分> ・【A】 米粉 200g カルダモンパウダー 小匙2 シナモンパウダー 小匙1/2 ベーキングパウダー 10g キビ砂糖 50g ・バター 60g ・牛乳 80g ・溶き卵 1/2個 ・生姜 ひとかけ(みじん切り) |
作り方
手順 | |||||||||||||||
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お好みでメープルシロップまたは蜂蜜を添えてください。
おススメのお酒
岡野 のり子 [社長アシスタント・広報担当] NO WINE NO LIFE のノムリエ主婦から2005年にお酒の業界へ J.S.A.認定ワインエキスパート、SAKE DIPLOMA |
NEWS [2021.3.4]
日頃より横浜君嶋屋をご利用いただきまして誠にありがとうございます。
横浜君嶋屋日本酒館及びワイン館の営業日に関してのお知らせでございます。
3月は休まずに営業致します。
月~金 11:00~19:30
土 10:00~19:30
日・祝日につきましては10:00~18:00にて営業致します。
皆様のご来店を心よりお待ちしております。
酒のおはなし No.025 [2021.2.16]
初めまして。映画とお酒が大好きな銀座店スタッフの二井谷と申します。
昨年は、銀座店の最寄り駅、有楽町駅を下りたすぐ近くにある角川シネマ有楽町で開催されていた、「若尾文子映画祭」に通ったことが一番の思い出です。コロナ渦の中、マスク着用、体温測定、座席を1席開けて、と感染対策バッチリで、いつもと違う静かな劇場に少し緊張感を覚えました。しかし、いざ映画が始まると空気が一気に変わり、笑い声も聞こえる和やかな雰囲気に。私も一緒に笑ったり泣いたりしながら、映画館で観る映画の楽しさやありがたさを改めて実感しました。応援の意味も込めて、今年はもっと映画館に通いたいと思います。
さて、そんな「若尾文子映画祭」で出会った、『浮草』という映画をご紹介いたします。
『浮草』は、1959年に上映された小津安二郎監督作品。
小津監督と言えば、日本の原風景を「小津調」と呼ばれる独特な手法で撮影した作品で有名です。『浮草』は、小津監督の第二の故郷である三重県の港町を舞台にした唯一の映画。旅周りの一座とその周辺で巻き起こるドラマをコミカルに、時に感動的に描いた作品。
この映画の魅力は、まず歌舞伎役者である二代目中村鴈治郎はじめ、京マチ子、若尾文子、川口浩といった大映スター達や、小津監督作品常連の杉村春子、笠智衆といった豪華なキャスト陣。そして、他の作品と同じく「小津調」で活き活きと描かれた日本の原風景。特に今作品はカラー映画作品であり、浴衣やシャツの白色、船やのぼりの赤色、海や空の青色、色とりどりの一座の衣装などが物語を情緒豊かに彩っています。
今まさに縁側に座って港町の空気を吸っているような、いつまでもそれを感じていたい、観ていたい、そんな気分にさせられる映画です。
ところで、一体この映画のどこがお酒と関係しているのかというと、もはや「これは、呑兵衛映画です。」と断言できるくらい、とにかく登場人物がお酒を飲みまくる映画です! 改めて飲酒や飲酒の話をしているシーンを数えてみると、12シーンありました。シーンの多さにもびっくりしましたが、この映画の舞台は夏。夏ですがみんな燗酒を飲みまくる。小津監督の趣味なのか、舞台である三重県の風習なのか、そういう時代だったのか。燗酒好きとしては、気になって仕方がありませんでした。
登場人物が燗酒を飲むシーンはいくつかありますが、特に京マチ子演じるすみ子が一人カウンターに座り、「おじさん、熱いの。一本つけて。」とオーダーする姿は良いです。かっこよくて憧れてしまいます。
話していたら、燗酒を飲みたくなってきてしまいました。もちろん冬の燗酒はほっこりして美味しい。まだ遠い夏ですが、今年の夏は燗酒を登場人物達みたいに飲もう。
小津監督は、大の酒好きとしても有名な監督です。他の作品にもよくお酒が登場します。
是非気になった方はチェックしてみてください。
作品: 『浮草』 (小津安二郎,1959)
映画の舞台である三重県の日本酒をご紹介致します
妙の華 希(のぞみ)情熱 純米酒 生酛 無濾過原酒
燗につけてなお引き立つ上品な酸味と旨味でお燗映えバッチリ。52度くらいに温度をあげてからの燗冷ましが素晴らしい。
君嶋屋オリジナル「情熱シリーズ」の商品。
丁寧に慎重に約35日間かけて造り、さらに30日のもろみ日数をかけ、低温でゆっくり発酵させました。 |
丁寧に慎重に約35日間かけて造り、さらに30日のもろみ日数をかけ、低温でゆっくり発酵させました。 ※こちらの商品の状態は「火入れ」になります |
天遊琳 限定 瓶囲い 特別純米酒
瓶囲いとは、瓶詰めの状態で貯蔵すること。瓶囲いによって丸みのある優しいお米の旨味を感じる味わいに。ぬる燗がおすすめ。
鈴鹿山系の伏流水と厳選された酒造米で丁寧に醸されています。40~45度がおすすめの、飲み飽きしないお酒です。 |
瀧自慢 しぼりたて純米生酒
伊勢志摩サミットで供されたことでも注目された銘柄。
爽やかな香りと、しぼりたてらしくピチピチして程よいボリューム感のある味わい。冬の新酒の時期だけの限定のお酒。
マスカットを思わせるフレッシュで甘い果実の香り。純米酒らしい濃厚な味わいとふくよかな含み香がバランスよくマッチし、味わいが口の中一杯に広がります。 |
[銀座店] 二井谷 友希
大学在学中は映画研究部に所属 酒ディプロマ取得 |