酒のおはなし No.025 [2021.2.16]
映画とお酒の美味しい関係 Vol.1
とにかく酒を飲みまくる「呑兵衛映画」
初めまして。映画とお酒が大好きな銀座店スタッフの二井谷と申します。
昨年は、銀座店の最寄り駅、有楽町駅を下りたすぐ近くにある角川シネマ有楽町で開催されていた、「若尾文子映画祭」に通ったことが一番の思い出です。コロナ渦の中、マスク着用、体温測定、座席を1席開けて、と感染対策バッチリで、いつもと違う静かな劇場に少し緊張感を覚えました。しかし、いざ映画が始まると空気が一気に変わり、笑い声も聞こえる和やかな雰囲気に。私も一緒に笑ったり泣いたりしながら、映画館で観る映画の楽しさやありがたさを改めて実感しました。応援の意味も込めて、今年はもっと映画館に通いたいと思います。
さて、そんな「若尾文子映画祭」で出会った、『浮草』という映画をご紹介いたします。
『浮草』は、1959年に上映された小津安二郎監督作品。
小津監督と言えば、日本の原風景を「小津調」と呼ばれる独特な手法で撮影した作品で有名です。『浮草』は、小津監督の第二の故郷である三重県の港町を舞台にした唯一の映画。旅周りの一座とその周辺で巻き起こるドラマをコミカルに、時に感動的に描いた作品。
この映画の魅力は、まず歌舞伎役者である二代目中村鴈治郎はじめ、京マチ子、若尾文子、川口浩といった大映スター達や、小津監督作品常連の杉村春子、笠智衆といった豪華なキャスト陣。そして、他の作品と同じく「小津調」で活き活きと描かれた日本の原風景。特に今作品はカラー映画作品であり、浴衣やシャツの白色、船やのぼりの赤色、海や空の青色、色とりどりの一座の衣装などが物語を情緒豊かに彩っています。
今まさに縁側に座って港町の空気を吸っているような、いつまでもそれを感じていたい、観ていたい、そんな気分にさせられる映画です。
ところで、一体この映画のどこがお酒と関係しているのかというと、もはや「これは、呑兵衛映画です。」と断言できるくらい、とにかく登場人物がお酒を飲みまくる映画です! 改めて飲酒や飲酒の話をしているシーンを数えてみると、12シーンありました。シーンの多さにもびっくりしましたが、この映画の舞台は夏。夏ですがみんな燗酒を飲みまくる。小津監督の趣味なのか、舞台である三重県の風習なのか、そういう時代だったのか。燗酒好きとしては、気になって仕方がありませんでした。
登場人物が燗酒を飲むシーンはいくつかありますが、特に京マチ子演じるすみ子が一人カウンターに座り、「おじさん、熱いの。一本つけて。」とオーダーする姿は良いです。かっこよくて憧れてしまいます。
話していたら、燗酒を飲みたくなってきてしまいました。もちろん冬の燗酒はほっこりして美味しい。まだ遠い夏ですが、今年の夏は燗酒を登場人物達みたいに飲もう。
小津監督は、大の酒好きとしても有名な監督です。他の作品にもよくお酒が登場します。
是非気になった方はチェックしてみてください。
作品: 『浮草』 (小津安二郎,1959)
この映画を観たらこのお酒
映画の舞台である三重県の日本酒をご紹介致します
妙の華 希(のぞみ)情熱 純米酒 生酛 無濾過原酒
燗につけてなお引き立つ上品な酸味と旨味でお燗映えバッチリ。52度くらいに温度をあげてからの燗冷ましが素晴らしい。
君嶋屋オリジナル「情熱シリーズ」の商品。
丁寧に慎重に約35日間かけて造り、さらに30日のもろみ日数をかけ、低温でゆっくり発酵させました。 |
丁寧に慎重に約35日間かけて造り、さらに30日のもろみ日数をかけ、低温でゆっくり発酵させました。 ※こちらの商品の状態は「火入れ」になります |
天遊琳 限定 瓶囲い 特別純米酒
瓶囲いとは、瓶詰めの状態で貯蔵すること。瓶囲いによって丸みのある優しいお米の旨味を感じる味わいに。ぬる燗がおすすめ。
鈴鹿山系の伏流水と厳選された酒造米で丁寧に醸されています。40~45度がおすすめの、飲み飽きしないお酒です。 |
瀧自慢 しぼりたて純米生酒
伊勢志摩サミットで供されたことでも注目された銘柄。
爽やかな香りと、しぼりたてらしくピチピチして程よいボリューム感のある味わい。冬の新酒の時期だけの限定のお酒。
マスカットを思わせるフレッシュで甘い果実の香り。純米酒らしい濃厚な味わいとふくよかな含み香がバランスよくマッチし、味わいが口の中一杯に広がります。 |
[銀座店] 二井谷 友希
大学在学中は映画研究部に所属 酒ディプロマ取得 |
酒のおはなし
COLUMN