酒のおはなし No.023 [2021.1.28]

2018年のシャブリがいいぞ


「ここ最近飲んだワインで何が良かった?」と聞かれたら

すぐに「シャブリ」と答えるだろう。シャブリ2018年、生産者はローランス・ラース。
グランクリュでもプルミエクリュでもなく、ただのAOCシャブリだ。

2018年のシャブリがいいぞ

先日、営業先である銀座のフレンチレストランのランチに訪れた。
「2018年は本当に美味しいですね」の一言と共に、ワイングラスにシャブリが注がれた。

  その美味しさに驚いた。

  白い花、ミネラル、熟れた柑橘果実の香り、口に含むと上品な果実感、味わいの中心には金属的なキーンとした涼しさを感じる。時間と共に花の蜜やオレンジを連想させる暖かで凝縮したヴォリューム感、そしてクリーミーさも感じる。味わいは横に広がりすぎずに綺麗に縦に伸びていく。樽を使用しない上質なシャブリのバランスだ。

  少しして運ばれてきた「ホタテのポワレ白ワインソース」との相性は、言うまでもなくボン・マリアージュだ。この味わいであれば、昆布締めした旨みの乗った平目のにぎり、生よりもバターで軽くソテーした牡蠣なんかも良さそうだとイメージが膨らむ。

2018年のシャブリがいいぞ

「これはいいぞ!」
すぐに2018年ヴィンテージを調べてみた。

20年間で最良のヴィンテージ

シャブリ委員会のルイ・モロー会長が収穫後に発表していた。量と質を兼ね備えたヴィンテージ、ワインは複雑で表情豊か、鮮度が保たれていると。

 改めてシャブリを調べてみた。
シャブリは、ブルゴーニュの最北に位置する冷涼な気候、牡蠣などの貝類が含まれるジュラ紀のキンメリジャン土壌が大部分を占める。その冷涼な気候と特異な土壌から、爽やかで綺麗な酸味があり塩味やヨードなどミネラル豊かな辛口のワインが生まれる。

1970年代には最も有名な辛口白ワインとして世界的なブームを巻き起こす。カリフォルニアではシャブリと書くと売れるからと「カリフォルニア・シャブリ」が販売されるほど(問題となり今は表記出来ない)。日本では「シャブリと牡蠣」「和食には辛口シャブリ」といった定番の組み合わせが誕生し人気の銘柄になった。しかし、最近の人気はちょっと下火。ワインにハマって色々なワインを飲みたいと探求心が出てきた人には、一度飲んだらあまり興味をもたれない通過点的な存在なのだろう。ブルゴーニュ愛好家からも熱烈なオファーは少ない。ラヴノー、ドーヴィサといったほんの一握りの生産者ワインを除いては。

だが輸入量や売上を見てみると、日本のブルゴーニュワイン輸入量(2019年)の実に27%、売上では16%をシャブリが占めている。確かに当社の輸入ワインの中でも常にトップ10に入る主力メンバーだ。人気はないが売上は良い?何とも辻褄が合わないが、シャブリが日本に定着して沢山飲まれているということは確かだ。そして2018年シャブリが素晴らしいヴィンテージだということも。

  営業畑にいる私は、ついついシャブリをビジネス的な視点だけで見てしまっていたことに気づいた。つまり、そこそこの美味しさとそこそこの価格であればシャブリは勝手に売れていくものだと。ヴィンテージ情報さえ調べていなかった自分を悔やんだ。贖罪としてもう一度ちゃんとシャブリと向き合わなければならい。

  今週末は牡蠣とシャブリを飲もう。

Laurance Race / Chablis 2018年

シャブリ 2018 ローランス・ラース 750ml | 横浜君嶋屋オンラインショップ
4世代続く家族経営のドメーヌ。現在はローランス氏の次女クレール氏が栽培・醸造を引き継ぐ。ステンレスタンク醸造、熟成し樽は使用しない。所有畑は丘陵地帯に位置し、土壌は砂利と粘土と石灰岩質で構成し、主にジュラ紀からのキンメリジャン土壌。

2018年のシャブリがいいぞ

石渡 敏

石渡 敏 [株式会社横浜君嶋屋 営業本部長] 
仏料理店コートドールの調理場、サービスを経て横浜君嶋屋に勤務。
営業全般の統括。酒ディプロマ取得。


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