酒のおはなし No.020 [2019.12.30]
せんきん様 酒蔵訪問
皆様、こんにちは!
銀座店スタッフ三浦です!
君嶋屋に勤務して二年目、銀座店で二度目の冬を迎えようとしています。
学生の頃はいわゆるリケジョで、自然科学全般や数学・物理学が大好きでした。
在学中のアルバイトは小・中学生向けの科学実験教室の先生。
イノシシの骨格標本を作るために顔付き皮付きのイノシシを煮込んだのはいい思い出です。
当時の私からしてみたら、お酒の仕事に就くなんて思ってもみなかったことでしょう。
わたしは元々数あるお酒の中でも日本酒が好きで君嶋屋に入社しました。
日本酒を好きになったきっかけは、他愛もない安い居酒屋で初めて熱燗を頼んだ際、その味の変化に驚いたことです。
純粋に「なぜ」という興味から日本酒について調べはじめ、日本酒は醸造酒の中で非常に高いアルコール度数を誇ることや広い温度帯で楽しめることを知り、早速試してみて、また疑問を調べ、実験し、楽しみ、……としているうちにズプズプとお酒の沼にハマってしまいました。
そして当時の研究室から歩いていける距離のお店に通うようになり、銀座君嶋屋と出会い、お世話になることになりました。
今の仕事は本当に楽しく、毎日大好きなお酒に囲まれて、大好きなお酒を醸して下さる蔵元様にお会いできて、お酒を好きなお客様から学ばせていただき……。なんと恵まれた環境にいるのだろうと感じます。
さて、冬を迎えたこの時期はどこの酒蔵も活気付き、いい季節です。
酒屋勤めの醍醐味の一つは酒蔵訪問であると感じております。
どんな思いでお酒を造っているのか、お酒を通して何を表現したいのかを蔵元様から直接お聞きするのは非常に刺激的です。
この時期の酒蔵訪問は通常難しいのですが、去る2018年11月15日、新規に取り扱いの始まった株式会社せんきん様にお伺いしました。訪問をご快諾いただいた薄井一樹様に感謝申し上げます。
せんきん様にお伺いしました
大好きな仙禽を君嶋屋から売れるなんて嬉しい!
近年、かなり人気なお酒ですよね。
和食だけでなく洋食に慣れ親しんだわたしたち世代の舌が喜ぶ「甘味」と「酸味」を意識したお酒です。
宇都宮駅から在来線に乗り換えて三駅、氏家駅から歩いて七分ほどの場所にせんきん様は位置しています。
まず、その規模にびっくり。予想以上の広さです。先代は普通酒がメインで石高も多かったそう。今回、なんと麹を造るところから見せていただきました。
麹を造るところを見せて頂きました
もやしを振ると、麹菌が出る、
出る、出る・・・!
意外とこれ出ますね!!爆笑
こんなに出ると思わなかった。確実に黄麹菌まみれでした、わたし。
基本的に薄井真人常務が麹造りを担当され、再現性を高めるために麹米はほぼ山田錦の45%磨きにしているとのこと。
どうして上手くいったのか/上手くいかなかったのかを徹底的に分析して次に生かす。
日々集めたデータの変化を分析して、最高の仙禽を目指しているそう。
できた麹を確かめる。
米は、栃木県さくら市の農家さんと契約栽培をして「ドメーヌ化」を実現させています。
ドメーヌとはワインの世界で「ブドウ畑を所有し、ブドウの栽培・醸造・熟成・瓶詰までを自分たちで行う生産者」を指します。
たかがお米でしょ、兵庫の山田錦が一番じゃないの?と思われるかもしれませんが、薄井常務によると生産者で米の個性は全然違うそう。
水田の日当たりという気候条件はもちろん、収穫のタイミングは生産者によってまちまち。
「この人のお米は吸水時間を長めにした方がいいな」などの判断ができるのは、ドメーヌならでは。
顔が見えるという安心感に加え、徹底した品質のお酒を醸すにはこのスタイルがぴったりなのですね
もろみ発酵の様子。
見学の後、ちょうど当日発売開始のお酒を飲ませていただけることに!
せんきんの新酒、にごりの雪だるま。これ、本当に美味しいです!!!
梱包・出荷の様子。
めちゃうまです。
一度普通に上槽したあと、ざるで何度もこしたもろみを加えるそうなのですが、これがきめ細かくてなめらかなお酒のポイントになっています。
せんきん様のお酒は酸がしっかり感じられ、にごり酒にありがちな味のダレが全然ない。うわ~。美味しい。
わたしはにごりのお酒が苦手ですが、これは特別。美味しい~。
早速銀座店のバーメニューに出しましたが、お客さんはもちろんのこと、試飲したスタッフにも大好評でした。
これからも色々と進化していく予感の蔵元様!どんどんお客さんにオススメしていきたいと思います。
お忙しい中ご対応くださった薄井常務、薄井専務、せんきんの皆様、ありがとうございました。
今後も蔵元様とお客様をつなぐ立場として何ができるか考え、お客様の気になる情報をお伝えしていきたいと思います。
肩ひじ張らず、お酒のことが全く分からない方にも美味しいと思って頂けるようなお酒を提案させていただきますので、ぜひふらっと君嶋屋に遊びにいらして下さい♪
[銀座店] 三浦
酒のおはなし
COLUMN