酒のおはなし No.003 [2019.2.4]
原料から見るお酒(米編、ブドウ編)
皆様、こんにちは。
横浜君嶋屋 営業部 柴垣と申します。
最近めっきり寒くなり、忘新年会の季節、美味しいお料理とお酒が楽しめる季節になりました。本日の私がテーマに掲げますのが、ワイン・日本酒を醸造するにあたって欠かせない「ブドウと米」にフォーカスさせて頂きます。
私は横浜君嶋屋に入社して丸6年経ちます。色々と経験させて頂いてますが、その中で一つ思っていたのが、ワインは銘柄で選ぶことも当然ありますが、ブドウ品種もワイン選びをするのにあたって気にする方が多いと思います。しかし、日本酒は銘柄が先行して、米の種類で日本酒を選ぶことが少ないなあと思っています。そこで本日はワインに使用される2種類の黒ブドウ品種、日本酒に使用される2種類の酒造好適米をあげて、「品種」にフォーカスして、最後は合わせるお料理のポイントをコラムにさせて頂きます。
まず、赤ワインを造る黒ブドウ品種の代表格である「カベルネ・ソーヴィニヨン」「メルロー」を取り上げます。この2品種は一見ほとんど変わらない外観の黒ブドウ品種です。しかし、良く見てみると粒の大きさが違います。
カベルネ・ソーヴィニヨンは小粒で果皮が厚く、メルローは大粒で果皮が薄くなります。カベルネ・ソーヴィニヨンの様な小粒で果皮が厚いという事は、果肉に対して色素を出す果皮の量が多くなり、渋みのもとである種が果肉に対して大きいため、必然的に色素の濃い渋みが強いワインになります。
逆に、メルローは、大粒で果皮が薄い為、果肉に対して、果皮と種の割合が少ない為、色素はある程度抽出されますが、タンニンは比較的柔らかい印象のワインになります。よく赤ワインにはお肉と言われますが、一番注目すべきポイントは渋み成分であるタンニンの量と食材の脂の量を合わせることがポイントです。合わせるお料理を牛フィレ肉と牛サーロインが目の前にあった場合、脂の量は牛サーローンの方が多いので、タンニン量が多いカベルネ・ソーヴィニヨンと合わせたほうが脂とタンニンの量が中和するので相性が良くなります。
今度はお米にフォーカスしていきます。
日本酒に使用される米の品種を大きく分けると「早生品種」「晩生品種」に分かれます。早生品種で有名なのは新潟を中心に有名な五百万石、晩生品種で有名な兵庫を代表する山田錦になります。
この2品種の大きな違いは、五百万石は比較的冷涼なエリアで栽培され、田植えを4月に行い8月に収穫されます。収穫される米は硬質で、醸す際お水に溶けにくい為、比較的淡麗な酒質になります。
逆に山田錦は比較的温暖なエリアで栽培され、田植えを6月に行い10月に収穫されます。収穫される米は軟質で、醸す際お水に溶けやすい為、ボリュームある味わいの酒質になります。
五百万石を使用した日本酒は、さっぱり・さわやか・スリムなボディになりやすい為、合わせるお料理は前菜系のお料理や白身の魚料理に相性が良く、逆に山田錦を使用した日本酒はしっかり・凝縮感ある味わいになりやすい為、合わせるお料理はしっかりとした味わいのものでメインディッシュ系のお料理に合わせやすくなります。
大まかになりますが、この様な感じで少し視点を変えてワイン・日本酒を選ぶのも楽しいと思います。是非お試しください。
今回一回だけでは全てをお話しできませんので、次回また、別の品種をフォーカスできればと思います。
それでは本日の私のコラムは以上になります。
ありがとうございました。
柴垣 武 [株式会社横浜君嶋屋 営業課長]
ホテルニューオータニ、トゥールダルジャン・ソムリエを経て横浜君嶋屋勤務。ソムリエ、酒
ディプロマ取得。
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